学部長メッセージ

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国際人間科学部長 岡田 章宏 教授

21世紀に入り、私たちを取りまく社会は大きく変わりつつあります。

インターネットをはじめ情報通信技術が飛躍的に進化したことで、ヒトやモノ,それを とりまくあらゆる情報や経済的な事物が国や地域を越えて自在に移動し、瞬時に結びつくことができるようになりました。すべての境界を超えた新たな出会いもかつてとは比べものにならないくらい増え、次代に寄せる期待は膨らみます。

一方そのような状況のなかで、私たちの抱える課題、そしてそれを乗り越える方法も、少しずつ鮮明になっています。少子高齢化、貧困・格差拡大、エネルギーや資源の制約、環境悪化など容易に解決しがたい問題が地球のあちこちに遍在していることは、よく知られています。近年、摩擦や対立をも引き起こすこれら一つひとつの詳しい実態が、世界中の人々にリアルタイムで映し出され、その結果、地球規模で対処すべき課題であるという認識が拡がってきました。個々に遭遇する困難な問題に対し、様々な人々が境界を越えてともに向き合い協力し合って解決の道を探る、そうした協働の重要性が自覚され共有されつつあるのです。

このような変化の時代において、豊かで安心できる持続可能な未来社会の構築をめざしていくためには、複眼的な視点と柔軟な姿勢をもち国内外で地球的課題(グローバルイシュー)に積極的に関わっていく人の育成が不可欠といわれています。神戸大学は、この社会的要請に応えるため、2017年春、国際人間科学部を創設しました。

本学部では、深い人間理解と他者への共感をもって地球規模の課題と向き合い、世界の人々が多様な境界線を越えて共存できる「グローバル共生社会」の実現に貢献できる「協働型グローバル人材」を育てることを目的にしています。

壮大な目的ですが、それを掲げるのは、根拠があります。

国際人間科学部は、神戸大学において各分野に多くの人材を輩出してきた国際文化学部と発達科学部を再編統合して作り上げる学部です。再統合する学部はいずれも、四半世紀前に、当時の社会状況に即して設置した学際系学部です。国際文化学部は、動き始めたグローバル化にいち早く対応し、数多くの海外協定校を開拓し、交換留学プログラムや実習型の海外研修を多数実施しながら、深い文化理解と自在なコミュニケーション能力を育成してきました。一方の発達科学部は、人間の豊かさが議論された社会情勢を背景に、乳幼児期から高齢期にいたる全生涯を対象に人間の発達とそれを支える環境を捉え、様々な専門的知見を土台に実践的な問題解決能力を涵養してきました。国際人間科学部は、これら二つの学部が培ってきた強みと特色を活かし、今日の時代状況に合わせてそれらを融合させることで、上に掲げた「協働型グローバル人材」を育てるという目的をもつものであり、これによりグローバルイシューの解決への貢献を実現できると確信しています。

教育の特色は多くありますが、特筆すべき点として、グローバル・スタディーズ・プログラム(GSP)をあげることができます。これは、実体験を通してグローバルイシューを学ぶことを目的とする実践型教育プログラムで、すべての学生が海外研修とフィールド学修に参加します。実施にあたっては画一性を排し、一人ひとりが専門性や希望に応じて履修できるよう多様な内容と方法を重視しています。また、本学部においては非常に多くの授業で少人数対話型の形式を積極的に取り入れ、相互の議論とおして主体的な学びを促進している点も、大きな特色です。さらに、本学部には、理系・文系を超えた実に多彩な学問分野が置かれています。学生自身が、それらを自由に組み合わせながら、現代の世界的諸課題に即応した高度な専門性を身につけることができるのは、この学部ならではの強みといえます。

国際人間科学部の試みは、今始まろうとしています。

それは、現代のグローバルイシューと向き合うことをとおして未来への道を模索する実践的な学問プロジェクトです。教員と職員、そして学生諸君が一体となって、このプロジェクトに挑戦していく覚悟です。熱意あるみなさんが、この学問共同体に参加されることを強く期待します。