子ども教育学科 国際シンポジウム「進歩的実践の未来の発展に向けた方途の探求:イギリスにおけるカリキュラム、評価、教師教育」を開催しました

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2023年2月7日,進歩主義教育研究の第一人者であるピーター・カニンガム博士(ケンブリッジ大学名誉教授)をお招きし、シンポジウム "Finding ways to future development of progressive practice: Curriculum, assessment and teacher education in the UK" を開催しました。

パンデミックを経て、世界の学校教育はどのように変動し、未来を描こうとしているのでしょうか。イギリスの学校における取り組みについて、ピーター・カニンガム博士から、対面とオンラインを併用してお話し頂きました。神戸大学関係者だけでなく、他大学の先生や、高校生の参加もありました。

まず、現代のイギリスにおける学校教育やその前提となる文化をめぐる議論について、国家政策への批判、ジェンダー問題に関する社会運動、附属小学校の取り組みなどをふまえてご紹介いただきました。また、イギリスでも、そもそも教員の給与が安く、教員不足が深刻な問題となっていることが紹介されました。

次に、現代のイギリスの先生の悩みについて教えて頂きました。教育内容におけるナショナリズムの問題や、経験豊富な先生の中途退職、思うような仕事ができないことなど、イギリスの新聞「ガーディアン」における教員の匿名投稿「シークレット・ティーチャー」の記事をもとに説明して頂きました。

最後に、OECDの「未来の学校」のシナリオをもとに、議論を行いました。特に、OECDのシナリオの中にある「学習ハブとしての学校」(Schools as learning hubs)について学生と博士の間で議論が展開され、後日、博士から、確立した外部機関における資格・証明を重視することから、もっと柔軟な能力の認定システムへと移行していくことの可能性についてメールを頂きました。博士が、将来教師や教育関係者になる若者に高い期待を寄せていることを感じたシンポジウムでした。