教員情報(長坂 耕作)

氏名・職名 長坂 耕作(ながさか こうさく,Kosaku Nagasaka)准教授
メールアドレス nagasaka [at] main [dot] h [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(理学)(筑波大学)
研究分野 計算機代数
研究テーマ パソコンで代数計算(因数分解や方程式の求解等)を効率的に行う方法、誤差を含む場合や他分野への展開について研究しています。
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境数理科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト https://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/~nagasaka/
研究紹介

数値・数式融合計算の研究~誤差に埋もれても情報は失われていない

自然科学や社会科学など、色々な学問分野での事象 (例えば、光学レンズの設計や金融商品の開発) の数理的な解明を厳密に行うとき、数式処理は単なる数値計算では不可能な様々な計算を可能にすることで、研究を支援します (実際、MapleやMathematicaなどの「数式処理システム」が、多くの研究者や技術者に利用されています)。例えば、近年の代数的な処理による設計支援ツールやロバスト最適化プラットフォーム、制御理論における数式処理の活用など、数式処理の成果は産業界での重要な技術や理論として結実しています。しかしながら、我々を取り巻く実際の現場において、誤差のない理想的な環境を対象とすることは少なく、不可避な誤差 (計測、通信、入力など様々な原因による誤差) に対応する必要があります。これを実現しようとするのが数式処理の拡張である「数値・数式融合計算」です。

私たちの研究室では、先天的な誤差を持つ代数方程式 (多項式で表現される連立方程式) が誤差のために適切な解を持たなくなってしまう問題に取り組みました。本来であれば重要な情報を得られるはずが、不可避な誤差に貴重な情報が埋もれてしまうという問題です。代数方程式を解く方法の1つとして知られるグレブナー基底の計算では、ブッフバーガーアルゴリズムが使われますが、その計算過程は行列としても表現可能です。そこで、この問題を構造化低階数近似 (Structured Low Rank Approximation) に帰着させることで、誤差に埋もれた情報を当該行列から回復することが可能であることを示しました。今後の課題としては、適用可能な問題を広げることや計算効率の向上などがあり、離散的な誤差への数値・数式融合計算の拡張や実用に耐えうる実装の実現なども視野に入れ、これらの課題に取り組んでいきたいと考えています。

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